この度NSS HT1770 (15−7PH)がJIS鋼種に認定されました。
JISの名称はです。
 
NSSHT1770 (15−7PH)は析出硬化系のステンレス鋼板です。
素材硬度はHv350前後ですが、時効処理(475℃で1時間キープ)を施す
事によってHv500前後に上昇します。
例えば・・・高強度を必要とされる部品を作りたいが、形状が複雑で曲げRも厳しく
普通のバネ材では困難である。という場合に威力を発揮します。
つまり素材の柔らかい状態で形状を作り出してから時効処理によって強度を出すのです。
同系のステンレスではSUS631がありますが、この材料で時効後強度をHv500
に上昇させるには、素材硬度もHv400以上でなければなりません。

1.SUS631と比較すると、さらに柔らかい硬度から高い強度を得る事ができる。
2.素材硬度が安定しているため、材料ロットの違いによる成型のバラつきが小さい。
3.加工硬化が少ないので、これも成型の安定性が良い要因。
下に示す表が、この材料の特性を端的に現しています。
図1.時効処理前後の硬さ特性

左表は素材圧延率と硬さとの関係を示したものです。
通常のバネ材は圧延によって強度を出していくもの ですが、NSSHT1770は圧延による影響があまり ありません。これが素材硬度が安定していることと
加工硬化が少ないという事なのです。
また、時効処理後の硬さも安定した状態であること がご理解いただけると思います。
用途例と採用の理由
Eリング・Cリング→高強度が要求される。
試験管つかみバネ→疲労強度に強い。
リトラクターバネ→優れたバネ特性と耐疲労。
スチールベルト→溶接性に優れている。
DVC部品→過酷な形状と耐久性。
製造可能範囲 厚さ 0.2o〜3.0o
幅 1,200o以下
表1.物理的性質の比較(対SUS631)
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NSSHT1770 |
SUS631 |
密度(kg/cm3) |
7.74×10−3 |
7.67×10−3 |
比熱(J/(kg・℃)) |
0.50×103 |
0.46×103 |
電気抵抗(μΩ・m) |
1.00 |
0.84 |
弾性係数(N/o2) |
196000 |
190000 |
熱膨張係数(℃−1) |
25℃〜100℃ |
10.9 × 10−6 |
11.8 × 10−6 |
25℃〜200℃ |
11.5 × 10−6 |
12.0 × 10−6 |
25℃〜300℃ |
11.7 × 10−6 |
12.3 × 10−6 |
25℃〜400℃ |
12.0 × 10−6 |
12.8 × 10−6 |
25℃〜500℃ |
12.1 × 10−6 |
13.2 × 10−6 |
熱伝導度(W/m・℃) |
100℃ |
15.9 |
15.9 |
200℃ |
18.0 |
18.0 |
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